Low-pass-filter-less and its meanings
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そもそもローパスフィルタってなによってところからおさらいしよう。

ローパスフィルタ(Low-Pass Filter)というのは、LowをPassさせるフィルタなので、逆に言えばHighをCutするフィルタとも言える、つまりハイカットフィルタ。なにのローだのハイだのかと言えば、周波数な訳で、これまたあれやこれやと色々な場面で登場する汎用的な言葉だったりする。つまり、なにもデジタルカメラに限ったことではなく、周波数のあるものなら上をカットすればハイカットフィルタ(=ローパスフィルタ)、下をカットすればローカットフィルタ(=ハイパスフィルタ)ということになる。そして、デジタルカメラではレンズから入力される光の強弱変化の周波数に対してフィルタリングするということになる。

でもって「きょうじゃくへんか」をフィルタリングするとどうなるかというのを乱暴に言えば、アンチエイリアスのかかり具合が変化する。つまり、ハイカットすることによりシャープさを減らし(ぼかし)、自然な絵になるようにする…ということで、これはローパスフィルタがないとシャープな絵になり、あるとソフトな絵になる…と大胆に別ければそうなる。今までは技術的を含めて様々な理由で、シャープな絵というより、角が尖った絵になり過ぎたり、それが故に偽色やモアレ(特にベイヤー配列に起因する演算処理を含む)の原因になったというのもあって、あえてソフトにすることによりそれらを追いやって綺麗な絵作りをしていた、ということらしい。

ところが技術は進化する訳で、それはハード的に言えば映像素子(センサー)の密度が上がったり、ソフト的に言えば演算処理の高効率化が進んだりと、様々な理由により、偽色やモアレが出にくくなってきた。だからそろそろローパスフィルタを使ってわざわざぼかす必要は無くなってきた…と、良い方向にとればそうなる。

じゃぁローパスを取るとシャープ感が増すことになる…大まかにはその方向で考えかたは間違ってない。昨今はセンサーの画素数も上がり、また、ほとんどのケースに於いて原寸表示するなんてことは無くなったし、プリントではなくモニタでの利用がかなりの率を占めて来た…というのが、技術的な話云々以外の理由として、営業戦略を含めて主たる理由と言えるだろう。ついでに言えば他社がローパスレスと騒いだら、他のメーカもやらないと技術的に遅れているような印象を与える…そんなところだ。

ローパスレスにするとシャープ感が増すと書いたが、実際どの程度なのかと言えばこれは結構判断に困る。確かに精細な絵になることは確かで、例えば同じ1,000万画素の素子が1,400万画素の素子ぐらいになったような感じ…とでも書けばわかりやすい。つまり、ローパス云々というのをちょっと脇に置いたとして、1,000万画素で斜めの線を撮った場合のギザギザ感と、1,400万画素のそれとでは、当然だが画素数の多い方が滑らかな斜め線に見える(この「見える」という表現が大事で、実際にはギザギザ感は同じはずなのだが、そのものが小さくなることで肉眼で認識出来なくなり、滑らかになる…という意味)。つまり、1,000万画素の方にローパスフィルタをつけてアンチエイリアシングすることにより、1,400万画素と同じ程度の見え方にしていたのが今まで…ということになる。

だから、最近流行の2,400万画素ローパスレスなら、ローパスありの2,800〜3,000万画素クラスと同程度…と考えれば(乱暴だが)いい。今までが実画素数より小さい数字だったという見方も出来る。無論、アンチエイリアシングだけがローパスの目的ではなく、実際には他のフィルタ(例えば赤外線フィルタ)とかと併用した効果を持たせたりと、様々が理由があって付けていたというのもある。が、今度はソフト的に技術が進んで、その辺はきちんとエミュレート出来るようになって来たから、そろそろ外してもいいんじゃないか?ということらしい。

ローパスフィルタを外すということでシャープ感が増してやったぁ〜となりたいのだが、弊害もある。まず感覚的な画素数の上昇により、ブレが目立つようになる。ドットをまたがないような微細なブレも、ドット間が狭くなる事で拾いやすくなると書けばわかりやすいか。演算処理に左右されるがモアレや偽色が出やすくなる…と言われている。実際にはピクセル原寸で見た時に演算頑張ってます感がわかる。完全に除去することは難しいが、精度は確実に上がっている。ホワイトバランスを含めた色の再現性が高くなるので、色調のオート系の設定がシビアな方向に振られる(レンズが持っている「色」が如実に出るということ)。

シャープ度が上がるということに於いては、例えば猫の毛並みや人の髪の毛とか、今までの撮り方ではシャープネスが上がり過ぎるという結果になる。善し悪しは別としてもソフト感は確実に失われることになるので、レンズ選択を含め撮り方を変えるかレタッチで処理するかという「作業」が必要になる。更にどのサイズで再生するかというのにも引っ掛かる問題(これは画素数が単純に上がっても起きるのだが)もあるので、今後より取捨選択が増えるということに繋がりそうだ。

解像度の低いレンズで解像度を上げる目的でのローパスレスなのか、そもそも高い画質を更に高めるためのローパスレスなのか、ここいらの判断が難しい。ローパスのありなしと含めて、上手に付き合って行きたいところだ。そして勘違いして欲しくないのだが、ローパスレスの方が良いとか良くないとかの話ではないということだ。ローパスがあれば柔らかい絵が得意、なければシャープな絵が得意…そんな感じであり、善し悪しの問題ではないということだからだ。ついでに言えば、ローパスがあってもシャープ感を出す撮り方というものは存在する訳で、逆に無いからといってソフトな絵が作れない訳ではない。有無は単にやりやすさの基準であって、よく中途半端な人(特にスペック至上主義な人)が宣うような「ないから(あるから)ダメ」という判断は、そもそも論点がズレてるといっていいだろう。


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